規格・ガイドライン
ウェブアクセシビリティに関する主要な規格・ガイドラインとして、国際的なWCAGと日本のJIS規格について解説します。
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)
Web Content Accessibility Guidelines(略称WCAG)は、インターネットの各種規格を策定・勧告しているW3C(World Wide Web Consortium)が作成しているガイドラインです。
バージョン履歴
| バージョン | 策定年 | 概要 |
|---|---|---|
| WCAG 2.0 | 2008年 | 4つの原則と12のガイドライン、61の達成基準で構成 |
| WCAG 2.1 | 2018年 | モバイル端末への対応、弱視への対応、認知・学習障害への対応を追加 |
| WCAG 2.2 | 2023年 | フォーカスインジケーター、タップサイズ、認証方法、ヘルプリンク等を追加(最新版) |
後方互換性
WCAGは後方互換性があるように設計されており、WCAG 2.2に適合するコンテンツはWCAG 2.1やWCAG 2.0にも適合します。そのため、WCAG 2.0および2.1、2.2を総称して「WCAG 2」と表記することがあります。
WCAGの4原則
WCAGは以下の4つの原則に基づいて構成されています。
| 原則 | 名称 | 英語名 | 説明 | ガイドライン |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 知覚可能 | Perceivable | 情報及びUIコンポーネントは、利用者が知覚できる方法で提示可能でなければならない | 1.1 テキストによる代替、1.2 時間依存メディア、1.3 適応可能、1.4 判別可能 |
| 2 | 操作可能 | Operable | UIコンポーネント及びナビゲーションは操作可能でなければならない | 2.1 キーボード操作可能、2.2 十分な時間、2.3 発作と身体的反応、2.4 ナビゲーション可能、2.5 入力モダリティ |
| 3 | 理解可能 | Understandable | 情報及びUIの操作は理解可能でなければならない | 3.1 読み取り可能、3.2 予測可能、3.3 入力支援 |
| 4 | 堅牢 | Robust | コンテンツは、支援技術を含む様々なユーザエージェントが確実に解釈できるように十分に堅牢でなければならない | 4.1 互換性 |
適合レベル
WCAGには3つの適合レベルがあります。
| レベル | 説明 |
|---|---|
| A | 最低限のアクセシビリティ要件。達成しないと利用者に重大な悪影響を及ぼす「非干渉」の達成基準4つを含む。 |
| AA | 多くの行政サービス・ウェブサイトの調達時に参照される標準的なレベル。「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」(総務省)ではAAに適合させることが推奨されており、他国の法律やポリシーでもAAに適合させることを推奨しているため、原則AAに適合させることを目標とする。適合レベルAの達成基準25個と適合レベルAAの達成基準13個が対象。 |
| AAA | 最高レベルのアクセシビリティ。コンテンツの中には適合レベルAAAの達成基準をすべて満たすことができないものもあるため、AAA準拠を目指すことは推奨されていない。まずは適合レベルAAに準拠することを目標にして、可能であればAAAの達成基準を数個追加して試験することを推奨。 |
JIS X 8341-3
概要
JIS X 8341-3は正式名称を「高齢者・障害者等配慮設計指針 -- 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス -- 第3部:ウェブコンテンツ」と言います。ウェブサイトのアクセシビリティに関するJIS規格と捉えられることが多いですが、ブラウザを使うアプリケーションやシステムにも関係します。
- 現行バージョン: JIS X 8341-3:2016
WCAGとの関係
WCAG 2.0とISO/IEC 40500:2012とJIS X 8341-3:2016は同じ内容となっています。それぞれのガイドラインと規格が同じ内容になったことにより、ウェブアクセシビリティのチェック方法やチェックツールを共通化でき、国ごとに違うガイドラインや規格を使う必要がなくなりました。
注意事項
- JIS X 8341-3:2016は単体で完結していない。WCAG 2は「本文」「解説書」「テクニック集」の3つの文書群で構成されているが、JIS X 8341-3:2016に含まれるのは「本文」のみ
- 対応度の表記に独自の表記を使う。「準拠」「一部準拠」「配慮」の3つの方法がある
- JIS X 8341-3はISO/IEC 40500の更新後に改正が予定されている
対応度の表記
| 表記 | 説明 |
|---|---|
| 準拠 | 試験を行って達成基準すべてを満たしている場合に使える。公開するときは試験結果を合わせて公開する。 |
| 一部準拠 | 達成基準の一部を満たしている場合に使える。一部準拠の場合は追加で今後の対応方針を記載する。 |
| 配慮 | 試験の実施と公開の有無は問わない。 |